かつて元町内に「くぼいち」という名前の商店がありました。そこには「街角ふれあい館」が併設され、大島の歴史を物語る貴重な写真をはじめとした展示物が設置され、休憩所としても開放されていました。地元のおじいおばあも集まる憩いの場で、訪れると気持ちがほっこりするような、そんな場所でした。ところが、2019年に発生した台風19号の被害によりお店が大きなダメージを受けたため、やむなく閉店。建物は解体されて更地となってしまいました。
在りし日の「くぼいち」今は解体され更地となっている
おじいおばあの社交場、味あるモノたちが集まっていた素敵な場所はもう無くなってしまったのか…いや、そうではなくて新たに「観光喫茶もももも」と「くぼ0(ただ)」という2つの場所に受け継がれていました。それぞれの場所は「くぼいち」の店主であった柳瀬キミ子さんと息子さんの忠彦(ただひこ)さんで切り盛りされています。
「観光喫茶もももも」さんについてはフリーペーパー『あんこさんbook』にてご紹介しておりますので、こちらのページでは「くぼ0(ただ)」さんをご紹介したいと思います。
「くぼ0」はかつての「くぼいち」からほど近い場所にあり、元々くぼいちの倉庫として利用されていた建物なのだそうです。「くぼいち」がなくなりゼロになり、さらに無料でお茶が飲めるスペースということで「くぼ0(ただ)」と名づけられたのだとか。名付け親は忠彦さん、ご自身の名前の一部も含まれていて流石のセンスです。
訪れた日は水曜日。毎週水曜日は農家さんが野菜を届けに来てくれる日とのことで、建物内には様々な新鮮野菜が並べられていました。土がついている野菜もあって、採れたて直行便でどれも美味しそう!さっそく買いにくるお客さんもいました。
そして中央のテーブルには大先輩のあんこさんたちのお姿が。
「くぼ0」ではこうして近所の方々が自然と集まってくる社交場でもあるのです。それはまるであんこさんが朝夕と水汲みついでに井戸端会議をしていたハマンカー(共同井戸)のよう。
ちなみにこの場所、オーナーの柳瀬キミ子さんが切り盛りするサロンだから「サロン・ド・キミコ」という別名もあるのだとか。ちなみにこの名前も忠彦さんによるもの、抜群のセンスです。
右手奥に座っている方が柳瀬キミ子さん
ん、よく見ると皆さん素敵な帽子を被られているではありませんか!
その帽子に使われている生地は手ぬぐいだったり、着物の帯だったり、まさにアンコさんが身につけていたものでつくられた手づくりの帽子だったのです。
あんこさんのアイテムがさりげなく進化しているのが面白いですね。
見た目が可愛らしくて、何よりおしゃれを楽しまれているのがとても良い感じ!しかも素材が手ぬぐいだから洗うのも簡単で、すぐに乾くから夏の季節には特に重宝しそうです。
皆さんのおしゃべりも弾んでいました♫
私もキミ子さんはじめ皆さんが気さくに声をかけてくれるので、初めて来たのにずっと前から来ていたような…そんな錯覚に陥ります。笑
飾らない地域の社交場の雰囲気にすっかりリラックスしてしまい、楽しいおしゃべりのひとときとなりました。
この日集まっていた大先輩のあんこさんたちも元気いっぱい。今度リアルあんこさんが過ごしていたかつての日々のこと、いろいろ聞いてみようと思います。
というわけで、皆さんもあんこおばあたちに会いに「くぼ0」さんを訪ねてみてはいかがでしょうか。不定期での営業なので、開いてなかったらゴメンなさい。散策がてらちらっと寄ってみてください。とても気さくに迎えてくれるので居心地が良くってすっかり長居してしまうこと間違いなしですよ。
Information
『くぼ0(ただ)』
〒100-0101 東京都大島町元町2丁目2−10
不定期営業