三原神社

火山と信仰の関係

大島に人が住みはじめたのは、縄文時代もしくは更に遡るのでは?とも言われていますが、人が住みはじめた頃より噴火とともに生活があり、火山活動の状況によっては生死に関わる事態も起こりかねない場所であることから、古来より三原山は「三原大明神」、あるいは「御神火様」と崇められ、そして畏れられてきました。

ちなみに「御神火」は、三原山の噴火による噴煙や火映(火口の上空の雲や噴煙に火口の燃える溶岩に映えて明るく赤く見える現象)のことを神聖視して呼んだ言葉です。

ときに大地を震わせ、大地を焼き尽くす火山、そして、天に赤く光る火映のような現象を目の当たりにするわけですから神が現れたと思うのも当然のことでしょう。

大島の信仰はまさに御神火である三原山を中心に展開してきており、今回の三原神社をはじめ、これまでにご紹介してきた波浮港の波布比咩命神社や野増の大宮神社、泉津の波治加麻神社も噴火と深い関係があるそうです。

他にも三原山へと通じる登山道や登山口の各所には遥拝所が設けられていたそうですが、それが発展して神社となったと言われているのが元町の吉谷神社、差木地の春日神社等です。

毎年6月1日には「お山参り」と称し、三原山に登り、参拝しましたが、女性は登山を禁じられていました。特に内輪山は聖地として重視され、そこに入るには新しい草履に履き替えなければならない掟もあったそうです。

それは、人間の力では到底及ばない自然現象に対して畏敬の念を抱き、信仰の対象とするアニミズム思想に基づいたものと考えられます。

社殿について

元来、社殿はなく、三原山自体が三原大明神として尊称されておりましたが、いつの頃からか山頂に小祠が設けられ、大正の中頃には内輪山の中腹に社殿が建立されました。しかしながら、昭和25年から26年にかけての噴火で中腹の社殿は溶岩流の中に埋まってしまいました。山頂の小祠は無事でのちに建て直されました。

現在は、山頂口駐車場近くの展望広場入口付近に遥拝所が鎮座しており、内輪山山頂には鳥居が建っています。その鳥居をくぐり内輪山の山肌に沿って続く参道を降りていくと社殿が建っています。

天候が良く視界がクリアな時には鳥居越しに富士山を望むことができ、撮影スポットとしても人気となっています。特徴的なのは鳥居をくぐり参道を下り右へカーブしながら社殿へと通じるアプローチです。このような神社の構成はなかなか他には見られない様式ではないでしょうか?

天空に浮かぶ絶景の神社

三原神社は三原山内輪山山頂に位置するため、外輪山でちょうど視界が隔てられることで島の麓の町並みは見えず、海の向こうに広がる伊豆半島や伊豆諸島の島々、そして富士山がそびえる日本的でありながら現実から距離を置いたような絶景が広がっていて、訪れる人々にパワーを与えてくれるスポットになっています。

この開放感、そして非日常感をぜひ実際に訪れて体感してみてください。そして、古来より崇拝されてきた三原山のパワーを感じてください。五感が解き放たれる場所、それが三原神社です。

三原神社

参考文献:東京都大島町史(民族編)、伊豆大島志考、島の史跡ー大島編ー、観光案内シリーズNo.1 伊豆大島 神社と寺

Information

三原神社

〒100-0104 東京都大島町野増
(バス停「三原山頂口」下車、徒歩45分)

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