大宮神社

大宮神社は、バス停「大宮神社前」そば、都道である大島一周道路に面して一ノ鳥居がたっており、大宮神社に上る参道入り口と左手に社名碑があります。

階段を上ったところに二ノ鳥居があり、そこをくぐると左手に庁屋のある広場へと続きます。さらに奥には三ノ鳥居が見えて、上へと石段が続いています。その先には椎の木を主とした巨木が繁っており、独特な雰囲気が漂っています。


三ノ鳥居をくぐると右手に「東京都指定天然記念物 昭和14年12月12日指定 野増大宮の椎樹叢 大宮神社」と記された掲示物が目に入ります。周囲を見回すと昼でも薄暗いほど鬱蒼と樹々が生い茂っていて、中には幹の周囲が約7メートル、高さ30〜40メートルを超える大木も見られ、百数十本の椎の木の群生が見事です。

さて、ここからは雰囲気が一変し、何か特別な場所に足を踏み入れている感覚を覚えます。一歩一歩踏みしめるたびに神聖な場所に足を踏み入れている気持ちになり、心が洗われるような心の変化を感じます。おそらく、木々の間から降り注ぐ木漏れ日の光と、その光が地面を優しく照らす様子や長い年月を経て成長してきた力強い木の幹、地面をうねるように這う根、そして周囲に充満する植物たちが放つ匂いなどが総じてそのような気分にさせてくれるのかも知れません。

やがて小さく見えていた四ノ鳥居が近づき、その鳥居をくぐると両側に膝上から腰の間ほどの高さの玉石垣で仕切られた拝殿へと続きます。左手に手水舎、その先に狛犬が左右に鎮座し、奥に祝詞舎、そして本殿へと続きます。

この拝殿、両側が玉石垣で囲われていて、ちょうど良いサイズ感というか、何だか守られている感じがして、特別な雰囲気があります。おそらく訪れる人によって感じ方は様々なのだと思いますが、この世界観は実際に足を踏み入れて感じてみて欲しいです。

大宮神社は、一歩一歩足を進めるにつれて、それこそ、鳥居を一つ一つくぐる度に周囲の世界が変わって行く様子が感じとれて、訪れる人に驚きや感動を与えてくれます。

さて、大宮神社の祭神ですが、その昔、ここから南の山中に阿治古(あじこ)と呼ぶ古い地域が集落を形成していましたが、集落の人々は三原山の度重なる噴火降灰により室町時代(1466年)に祭神阿治古命を奉じて大宮のこの地に遷座、それまでは、阿治古神社と称していたとのことです。

波浮比咩命神社(はぶひめのみことじんじゃ)の際にご紹介しましたが、伊豆諸島の生成伝説を伝える「三宅記」によると、伊豆諸島をつくったとされる三島大明神には五人のお后があり、大島に置かれたお后は「波浮の大后」といい、波浮大明神の祭神「波浮比咩命」とされています。この波浮比咩命と三島大明神の間に生まれた王子が「太郎王子おおい所」と名付けられた「阿治古命(あじこのみこと)」で、野増にある大宮神社の祭神、とあります。
つまり、波浮比咩命神社の祭神「波浮比咩命」と三島大明神の間に生まれた王子「阿治古命」が大宮神社の祭神です。

現在の祭神はこの阿治古命と天照皇大神(あまてらすおおかみ)の二神で、天照皇大神は現在の大宮の地へ遷祀した1467年頃に配祀されたと伝えられています。

また、境内には小祠が多く集められ配置されています。人びとが三原山の度々の噴火降灰や嵐から家を守ろうとの願いがこのような小祠を寄せるようになったのでしょうか?いつの時代も安泰を願う人々の気持ちに変わりはないのです。独特な空気感とパワーに満ちている大宮神社、是非足を運んでみてください。

※参考文献:東京都大島町史(民族編)、伊豆大島神社と寺

大宮神社

Information

大宮神社

〒100-0104 東京都大島町野増字大宮
(バス停「大宮神社前」すぐそば)