『探究Journey』からはじまる学びのデザイン

13.『探究Journey』これからの展望

大田原
その意味では、旅行会社として『探究Journey』を通じて様々な学びの機会を提供し続けることもバリューの1つだと思うのですが、みなさんの立場から他に何かアイデアをお持ちだったりしますか?

青山
そう。今回の大島ツアーに教育現場の教員も一緒に同行できたらなぁと思いました。
それはなぜかというと僕がなかなか伝えきれない探究のデザインの仕方を矢萩さんや粕谷さんから学んだから。
とてもレベルが高いことをされていて、それをまず学ぶべきは教員だと思いました。

大田原
それは、教員向けの研修旅行というような可能性があるということですか?

青山
お金払ってでも同行したいという教員はいるんじゃないかと思いますよ。
多分PBLとか探究とかに興味のある教員か教育関係者が同行できるような機会を設けることは可能性あると思います。
大島にも参加したい教員はたくさんいるだろうし、島外から参加・同行される方がいても面白いですよね。

大田原
それはとても発展性があるお話しですね!
粕谷さんはいかがですか?

粕谷
僕は他にも、子供の興味とか旅のテーマや季節に応じて、いろいろなプログラムを作っていきたいと思っています。
この前「ブラタモリ」でも紹介されたように、伊豆大島は、数万年前から続く火山活動の痕跡が豊富にあるだけじゃなくってそんな荒々しい環境を生き抜いた動植物が今もありのまま生きていたり、人間の暮らしとか歴史や文化、産業が「一つの物語」としてある。
島全体としてジオパークなんですよね。
だから、今回は「火山と植物のせめぎあい」をテーマに砂漠が森に変わるまでのコースを行きましたけど、他にも、大島の海に魚種が多い謎を海流と海溝の関係性から読み解く海のジオパークツアーとか、町の成り立ちを紐解く「なぜ元町に港ができた?」ツアーとか、大島だから生まれた食文化や動植物の違いを探るツアーなどなど「ブラタモリ」があと10回できるくらいアイデアがあります(笑)。
島の農業や漁業にもリンクしたプログラムも順次作っていけたらいいなと思っています。

青山
地元のことを島の子供たちにも学んでもらうことも大切ですね。地域学にも発展していきそうです。

粕谷
伊豆大島ジオパークの運営の中でも、新しい取り組みとして、島内の一部の小学校や中学校での特別授業が始まっています。
「ブラタモリ」で紹介されて初めて島の歴史に興味を持ったという島の人もいたようで島の子供たちにはしっかり島の歴史や文化、その背景にあることを伝えることも大事、というムードにもなってきましたね。
今後は島内で取り組んでいることを島外の人たちにも体験してもらえたり、それをキッカケに島に来た子供やいろんな人との交流ができたりするのもいいですよね。

大田原
地域の学びが、『探究Journey』を通じて発展したり展開していくのはいいですね!
是非実現していきたいです。

14.探究的に取り組む『探究Journey』

大田原
今後の話をしますと、矢萩さんが全てのツアーに参加していただくことはちょっと現実的ではないと思うので、矢萩さんの役割を青山さんや粕谷さんの方で担っていただくことにもなると思いますが、その時に矢萩さんと全く同じ手法、手段を用いて実施することは難しかったりしますよね?
青山さんは青山さんなりのインプットやアウトプットのやり方があると思うんですけど、そのあたりどうお考えですか?

矢萩
僕はナビゲーターという役割はやる人間が自分自身の世界観をしっかり持ってその人らしくやることがとても大事なので、僕の世界観にそのまま乗っかる必要は全くないと思っているんですね。お互いに影響を受けるのは良いと思いますが、やはりその人が一番臨場感を持って人に接することができる方法なり世界観なりがあってこそ、臨機応変にナビゲートできるし、伝わるものなので。

青山
粕谷さんが先ほどおっしゃっていたように、ガイドツアー全体をどう構成していくかという話にすごく似ていて、何をしたかというよりも、誰に向けて何を考えてその場を構成したかのほうが大事ですよね。

矢萩
ただ、実施した内容についてはその都度メンバー同士でしっかりシェアしていきたいですね。
自分が担当の時に「それ採用させてもらいますね!」とか「あの時のスライド貸してくれませんか?」みたいなのを自由にやりとりできるようにして、『探究Journey』の共有資産として育てていくことで、みんなで関わって、常に最適化していきたいですね。
ノウハウの蓄積についてはしっかり取り組みたいところです。
例えば皆さんが使えると思った僕の方法論が、粕谷さんや青山さんが使われたら違うものになることもあると思います。
それを受けて僕の方もこれまでの方法論をアップデートできるので学べる機会が出来ますよね。
お互いの確認をしたり、新たにお互いの手法をシェアしながら随時アップデートしていく流れが作れたらいいですよね。

編集部
『探究Journey』というプロジェクト自体もまさにメンバー皆さんとの探究ですね。

大田原
我々一人一人が「探求的な学びの旅作り」というお題に取り組む探究者としてそれぞれの立場でどう新しい価値を作りながらそれをシェアしつつ、アップデートしていくか。
その連続になっていくのだと思います。

粕谷
僕としても今までいろいろ試行錯誤しながら大島の魅力を伝えてきて子供たちにも多く接してきましたし、もちろん大人にもツアーとして楽しんでいただいているのですが、やはり個人の力では限界があります。
でも今回皆さんとの出会いは、今後現実的にいろんな切り口でのツアーづくりに取り組んでいける自信にも繋がっています。
それに、同じ島民である青山さんと出会えたことがとても大きなことでした。
これまで青山さんのようなタイプの教育者と接する機会というのがあまりなかったので、
教育者の視点でいろいろ気軽に相談できることが非常にありがたいです。
今後の未来がとても明るくなりました。

青山
そんな風に言ってもらえてこちらこそ嬉しいですね!ありがとうございます。

編集部
ここでできた皆さんとのつながりは大島にとっても宝物になりますね!
今後はジオパークと地域の教育の繋がりからいろいろと面白い取り組みも生まれてくるかもしれませんね。

大田原
本当に楽しみです!
教育者向けの探究企画も実現させたいですね。

粕谷
それも繁忙期じゃなくて閑散期にやっていただけると大島としてはありがたいですね。

矢萩
今回ススキが素晴らしかったので気候のことも考えて僕は10月が最高なんじゃないかと。
10月は閑散期なんですよね確か。

粕谷
そうです。

矢萩
僕はもう今から楽しみにしているんで。

粕谷
では教育者向けの企画を今から作り始めるということでいいんですかね。

青山
そうですね!本当に作りましょうぜひ。
何かあって大田原さんにできますか?と聞くと必ず「絶対できます」って言われますよね。
とにかく企画案考えてどんどん大田原さんに相談すればいいという理解で大丈夫ですか?

大田原
はい、大丈夫です。 何でもできます!

一同
素晴らしい(笑)

『探究Journey』特設ページ

https://eco.his-j.com/journey/

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