楽しんでいる場の雰囲気が好き

伊豆大島に暮らす人にお会いし、お話をお伺いする企画、その名も「島人Focus」。
今回は長年勤め上げた介護の仕事から一転、伊豆大島ジオパークガイド・釣りガイドへと転身された杉山克己(すぎやまかつみ 通称:カッチン)さんにお話を伺いました。

大島に戻ってきたのはよくある病!?

ーまずは大島に戻られたきっかけを教えてください

はい、大島に戻る前は東京や横浜で暮らしていましたが、23歳の頃に“都会の生活に疲れた”という、よくある症状が発生しまして、大島に戻ろうと思いました笑。大島に戻って仕事を探していたところ、ちょうど老人ホームが新しくなるタイミングだったこともあって、自分がおじいちゃん・おばあちゃん子だったことを思い出して、高齢者のお相手なら自分に向いているかもと思い老人ホームで働き始めました。それから30年間老人介護一筋でやってきました。

ライフワークは釣りと踊り

ー介護のお仕事の一方で釣りと踊りが得意とお聞きしました

自分の父親が名人級に釣りが得意で、釣り人に釣り案内までするほど釣りが好きな人でした。父親が健在の頃はよくある親子の確執もあって「親父と同じことはやりたくない」という気持ちから、釣りからは距離を置いていたのですが、今から23年前に父親が亡くなり、持ち物整理をしていたときに父親が好きだった釣り道具がたくさん残っているのを見て「ちょっとやってみようかな」と思うようになったのがきっかけですね。

さらに地元の漁師さんからエギ(疑似餌)をもらって、誕生日の日にはじめてエギングをしてみたんです。するといきなり1.5kgのアオリイカが釣れちゃって笑、それからどハマりしました笑。以来、地元の漁師さんや釣り名人に色々と教えてもらいながら知識を増やしていきました。例えば、海の中のことは全くわからないので、地形については地元の先輩方に「あそこには何々があるから気をつけろよ」とか「そこは海溝になっててエギが引っかかって取れなくなるから気をつけろよ」とか…いろいろ教えてもらいながら、たまに失敗もしながら少しずつ成長していった感じです。

ー郷土芸能についても積極的に取り組まれてますよね

そうですね。元々私の家系がお祭りの歌とかに関わっている人が多く、例えばおばあちゃんの親戚には私の踊りの師匠がいたりとか。小さい頃から踊りや歌にふれる機会が多くありました。そんな状況の中、自分も踊りや歌が大好きだったので一生懸命練習に励むことができました。ちょうど島に戻ってきた年にお祭りがあってそこではじめて披露して以来、ずっと取り組んできたことの一つですね。今では地元の子供たちに教えたり、様々な場面で指導者として踊りを教え伝える活動をしています。

ー踊りのどんなところに魅力を感じていますか?

単純に華やかで賑やかなところですね。楽しそうな雰囲気が好きなんです。さらに、そんな雰囲気から沸き起こってくる地元への愛が実感できるところが良いところだなと感じています。

介護職から一転、ジオパークガイドへの転身

ーそして、2022年7月に長年勤めた介護のお仕事からジオパークガイドへと転身をされるわけですが、まずは転身に至った経緯を教えてください

大島のことを意外と知らなかったと思ったのが最初のきっかけですね。当時仕事が忙しくてなかなか参加できなかった伊豆大島ジオパーク推進委員会が実施している伊豆大島ジオパーク認定ガイド養成講座ですが、何度か参加した講座の中だけでも知らなかった大島の話がいくつも出てきて、島に暮らしているにも関わらず全く知らないことだらけだったことに驚きました。同時に伊豆大島ジオパーク認定ガイドとして活躍されているオレンジフィッシュの粕谷さんから「ジオガイドを本格的にやってみないか」とお声がけを頂いたのもジオパークガイドになろうと思いはじめたきっかけです。

最初は介護の仕事と並行してやろうと思っていましたが、ジオパーク認定ガイド養成講座の最初のお話の中で、認定ジオガイド(当時は1期生・2期生)は70名弱いる中で実際に料金をお客様から頂いてガイドをしているプロのガイドさんは7、8人しかいない、という実態を知りました。認定ジオガイドのほとんどが公務員の方で、有料でガイドをされている方が圧倒的に少なかったのです。そんな状況を知って最初は時間のある休日にガイドをしようと軽い気持ちでおりましたが、勉強を重ねていくうちに料金に見合ったガイドサービスを提供するとともに、安全に十分配慮したプロのガイドが必要だよなと思いはじめて、さらに大島を盛り上げたいという気持ちも手伝って、2022年の7月31日に長年勤めた介護の仕事を退職して、ジオパークガイドに転身することを決意しました。最終的には妻が「気にしないでやってみれば」と言ってくれたことが何よりも大きかったですね。

ー最終的には奥さまの一言が決め手でしたか!とてもご理解のある奥さまですね。実際にジオパークガイドというお仕事をされてみて気づいた点等ありましたら教えてください。

とにかくやってて楽しいですね。皆さんと一緒に勉強していく感じが楽しいです。そして、毎日通っていてもあそこに新しい花が咲いているとか、花から実になっているとか、毎日発見があります。植物の変化や生態系の変化を日々感じとれるのが楽しいですね。
それと、知っている植物の名前が実は島の通称で、正式名称が別にあることを知ったのもジオガイドになって始めて知ったことですね。例えば、オオバヤシャブシのことを大島ではハンノキと呼んでいるのですが、そんなこともガイドをすることで知りました笑。ガイドを行っている最中は当然ながら正式名称で伝えなければならないので、インプットやアウトプットを切り替えるのに必死でした。今はだいぶ慣れましたけど、本当に日々発見だらけで充実しています。

ガイドをしている中で楽しい瞬間はお客様と一緒に色々と感じられることですね。楽しさを共有できることはやっぱり楽しいです。ガイド業が自分に合っていると思える瞬間でもあります。

ー楽しみを共有できるって素敵なことですね!さて、ジオパークガイドのお仕事をスタートされましたが、以前からお好きな釣りや踊り、そして介護の経験をガイドに活かしていく計画があることをお伺いしました。具体的にはどのような内容になりますか?

はい、釣りについては、大島にはこれだけ素晴らしいフィールドがあるので、楽しみの選択肢の一つとしてオススメしていきたいと思っていますし、やっぱり共有したい。だからこそ、ご案内したいと思っています。季節ごとに釣れる魚や時間帯、仕掛けのポイント等、各レベルや状況に応じて対応できますので、お気軽にご相談頂ければと思います。毎回ベストなご提案をさせていただいています。

踊りの方については季節限定となりますが、夏に島内の各集落で行われている「盆踊り」を体験いただくガイドサービスを考えています。盆踊り会場にご案内しつつ、踊りを教えながら一緒に楽しもう!というスタイルです。完璧に踊れなくてもその場の雰囲気を楽しんで頂きたいです。最高のストレス発散になると思いますよ!

介護については様々な法律上の規制があり、課題が山積みなのですが、地道に取り組んでいきたいと思っています。例えば、大島が国立公園であることから特別保護区域等では車両の乗り入れが禁止されているのですが、車椅子が必要な要介助者には特別に通行を許可できるよう規制緩和ができたらと思っています。誰に対しても優しい、誰もが楽しめる島であって欲しいと願っていますし、それに向けて取り組みを進めています。

-ありがとうございます。「誰に対しても優しい、誰もが楽しめる島」素敵な言葉ですね。首都圏から一番近い島で多くの学びや気づき、そして楽しみに溢れた島「大島」。そんな島の案内人としてカッチンは今後も活躍されていくことでしょう。

カッチンが提供するガイドサービスについて

最後にお話の中でも登場したカッチンのガイドサービスについてご紹介します。興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

「ジオパークガイド」について

伊豆大島ジオパークをご案内する「ジオパークガイド」については、オレンジフィッシュ でお申し込みを受け付けております。

オレンジフィッシュ

伊豆大島のダイビングと自然体験ツアー

住所:〒100-0101 東京都大島町元町野地723-2

TEL:04992-2-9707(営業時間:朝8時~夜10時)

URL:https://orangefish.tokyo 

Mail:info@orangefish.tokyo

「釣りガイド」について

島内の堤防で、釣りの案内をいたします。
初めて釣りをする方や、家族での釣り体験など、初心者にも優しくガイドいたします。

釣りの経験度合いや人数、時期や希望される時間帯によって対応可能かが変わりますので、事前にご相談いただければと思います。

釣りガイドは、防波堤でのサビキ釣りと「釣船」同乗ガイドの2種類です。

  1. サビキ釣り【初心者向け】
  2. 「釣船」同乗ガイド【初心者向け】

1.サビキ釣り【初心者向け】

お子様から大人まで、初めて釣りをする人にも釣果が期待できる釣り方です。仕掛けを投げずに、「まき餌」で足下に魚を集めて、擬似餌(小さなエビに似せた釣り針)を使って釣ります。大島の堤防では、タカベ、アジ、イワシ、小サバなど、季節によって様々な魚が狙えます。持参した釣り道具を使っていただいても良いですし、必要な道具は全てレンタル可能です。

①時間

2時間程度(時間帯は応相談)

②料金

  • ガイド料:¥3,000/1名(ライフジャケット、保険、まき餌付き)
  • 竿・仕掛けなど一式レンタル:¥1,000/1名

2.「釣船」同乗ガイド【初心者向け】

岡田港から出船する釣船にガイドと一緒に乗る3時間の船釣り体験です。
船釣りは、魚探(魚影探知機)を使い、魚がいるところに餌を送り込む釣り方です。一般的には堤防で釣れる魚より大型の魚が釣れる可能性があります。

釣れる魚は、サバ、イサキ、アジ、メジナなど、時期や潮の状況で変わります。
道具や餌は全てレンタル。初心者の方でもガイドが釣り船に同乗して優しく釣り方を教えるので安心です。

釣った魚は持ち帰り可能。下船の際に必要なサイズの発泡スチロール箱を購入していただき、氷詰めでお渡しします。なお、天候によっては出船できないこともありますのでご了承ください。(前日に出船するかどうか決定になります)

①時間

午前…7:00~10:00、11:00~14:00
午後…14:30~17:30
集合は岡田港の「伊豆大島漁業協同組合 岡田事務所」前に出船時間の30分前にて。
*集合場所「岡田漁業組合」の地図はこちら(Googleマップに飛びます)

②人数

大人3名以上(大人2子供2以上)~8名まで

③料金

料金は、「乗船費用」+「釣船予約・同乗サポート費用」の合計になります。

  • 乗船費用(ライフジャケット、保険、釣り道具、餌など込み)大人6,500円 / 子供(小学生まで)3,500円
  • 釣船予約・同乗サポート費用(釣りのサポート・アドバイスなど)お一人あたり+1,500円

④機材

すべてレンタル。乗船費用に含まれています。多少濡れたり汚れてもいい服装で。

⑤持ち帰り

漁業組合で有料で発泡スチロールに詰めて持ち帰りができます。クーラーボックス持参も可能。

お問い合わせ・お申し込み

メールでご連絡ください。

 kmsy92214@gmail.com

メールには以下について記入をお願いいたします。

  • 希望する釣り方(サビキ釣り、船釣り)
  • 利用したい日程、時間帯の目安
  • 人数(大人、子供の内訳もお知らせください)
  • お名前、ご連絡先
  • そのほかご質問など

伊豆大島ネイチャーガイドショップ「三福」
代表:杉山克己

公式ホームページ
https://npyy1.hp.peraichi.com/san-puku 

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