皆さんは2023年秋に展開された大島町の観光ポスターをご存知ですか?島内でご覧になった方、SNSを通じてご覧になった方などいらっしゃるかと思いますが、今回のポスターは伊豆大島ナビ編集部のメンバーも関わらせていただき制作しました。そこで今回は秋の大島町観光ポスターの制作に関する話題を中心に、ポスターに登場するスポットなどについてご紹介したいと思います。
photo by NUMA FILMS
島の多面的な魅力を伝える
今回のポスターの特徴のひとつは4つのパターンのビジュアルを展開したところだと思います。ポスターに採用するビジュアルを1点ではなく、より多くの方に届けられるように複数のパターンを用意してバラエティ豊かに展開することで、目にした人が他にどんなパターンのポスターがあるのかな?と興味を持ってもらえたり、全パターンを1箇所にまとめて掲示することで華やかさや賑やかさを際立たせたり、何より多くの魅力が詰まっている島の多面的な魅力の断片をよりしっかりと伝えることができます。また、伊豆大島を特徴づける場所且つ楽しみ方の幅の広さも伝えられるようなイメージをセレクトしています。
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ポスターの背景となった4つの舞台は、国土地理院が発行する地図に唯一「砂漠」と表記される島が誇る絶景且つ最重要スポット『裏砂漠』や、今や教科書にも掲載される日本で最も有名な地層といっても過言ではない『地層大切断面』。そして、美しい夕日と大海原の絶景が楽しめる観光客から島民まで幅広く愛される露天温泉『元町浜の湯』。さらには、ノスタルジックな風情漂う港町でありながらも最近では個性的な宿やカフェなど、フレッシュな動きが盛んな注目のスポット『波浮港地区』まで、大島らしい様々な魅力に溢れるスポットをセレクトしています。
さらに今後の展開なども考えてみると、島の居酒屋で談笑するシーンや畑仕事に勤しむ姿など、もっと島の暮らしに寄せたシーンなども並べつつシリーズ化できたらさらに面白そうだし、様々な展開も考えられると思います。ちなみに今回のポスターに使用した各スポットについては後ほどご紹介をしたいと思います。
あえて素直に魅力を伝えないことの意図
さて、特徴的なのはモデルさんたちが椿やくさや、地層大切断面など大島の特徴的な産物やスポットをかたどった被り物を被っている姿だと思います。今回のポスターのキーワードである「ハマる大島」や、頭の中が大島のことでいっぱいになってしまうほど夢中になっている様子を表現したかったこともありますが、最大の意図は一見しただけではすぐに状況を理解できなかったり、一瞬では意味が伝わらないものとしての表現を目指したかったというのが大きいです。いわゆる“意味と無意味の間をとった表現”を目指しました。
photo by NUMA FILMS
世間一般的には明確に説明できる論理の通ったものを良しとするケースが多いけれども、無意味なものと意味を持ったものとの間にあるものやその間を揺れ動くものに対して人は一番ドキドキするという考えがあります。一見よく分からない、いわゆる意味の宙吊り状態が起こっている表現に人は引きずられてしまう傾向があると思っていて、まさに今回のポスターもそんな考え方をベースにしてつくったところがあります。
思わず二度見したくなる、そんなポスターです。
島人や島好き自ら魅力を伝えるポスター
ところで、ポスターに登場しているモデルを引き受けてくれた皆さんですが、伊豆大島ナビの連載『ほずみんのGood Place』でもお馴染みの5代目東海汽船マスコットガールの穂住佳歩さんをはじめ、実際に観光やお仕事で来島されていた方々や、町長や議長をはじめとした島に暮らしている方々です。島に関心のある幅広い世代の皆さんにご協力をいただき、生き生きとした表情で伊豆大島の魅力を伝えてくれることで、島の楽しそうな様子はもちろん、島での豊かなライフスタイルや島民のあたたかな人間性が垣間見えてきます。
photo by NUMA FILMS
では、実際にポスターをみていきましょう。
まずは、印象的な夕暮れ時の水平線を望む絶景の露天温泉「元町浜の湯」のシーンから。ほっこりとしたあたたかさが伝わってくるビジュアルには椿の被りものを被った町長とくさやの被りものを被った町議会議長にご登場いただいております。また、観光やお仕事で大島に来島されていて、撮影時にたまたま浜の湯にいらっしゃった皆さまにも喜んでご出演いただきました。ちなみに牛乳煎餅の被り物を被っている方はなんと北海道から観光に訪れていた方で、後日、自身が経営されているイタリアンレストランの店内にポスター貼ったよー!と嬉しい報告メールも送って頂きました。
そのお隣は島の南端の波浮港の中通りを散策するお二人。椿の被り物を被っているのは5代目東海汽船マスコットガールの穂住佳歩さん。もう一人は島内の高校に通う現役高校生です。雰囲気のある波浮港界隈を楽しそうに散策する姿とともに島旅の魅力を効果的に伝えてくれています。
ちなみにポスター右上の「想像以上」というコピーですが、実は大島町観光課の担当の方が考えたもの。制作チームで打ち合わせを何度も重ねながら一緒に熱心に考えたことで生まれてきた言葉で、まさにチームで仕上げた作品なのです。
続いて、島が誇る絶景スポットを収めたポスター2点です。裏砂漠は大島が誇るイチオシ絶景スポットですが、こちらに登場している島人はそんな島の雄大な自然の中ですくすく元気に成長している島の子供たちです。撮影中も鬼ごっこをしたり、だるまさんが転んだなどをして遊んだり、自由に楽しんでいる姿が島っ子らしくてたくさんの元気を振りまいていました!
そして、地層大切断面をバックに電動自転車に乗って満面の笑みを浮かべているのは、撮影の2ヶ月前に移住してきたばかりの若者。モデルを引き受けてくれる予定だった方が急遽参加できなくなり、代わりのモデルさんを探している中で引き受けてくれた新たな島人であり救世主でもあります。
最後にポスターの舞台となった各スポットをご紹介
最後に今回のポスター撮影の舞台となった大島の各スポットのご紹介をして終わりたいと思います。どこも伊豆大島を代表するスポットなので、ぜひ足を運んでみてください。
裏砂漠
「裏砂漠」は国土地理院が発行する地図に唯一「砂漠」と表記された場所です。伊豆大島の象徴ともいえる三原山の度重なる噴火によって降り注いだマグマのしぶきが大地を焼き、植物を燃やし、一面黒い世界を作り上げています。噴火後も風が強く吹きぬける場所であるため、植物が定着しにくく、いわゆる“砂漠”的な光景がひろがっています。
地層大切断面
島の南西部、沿岸を行く大島一周道路を走っていると、ひときわ目を引く見事な地層の縞模様が突如あらわれます。高さ約24メートル、長さ630メートルの圧倒的スケールの地層の断面が私たちに驚きと感動を与えてくれます。こちらは「地層切断面」と呼ばれ、昭和28年の大島一周道路の建設工事中に偶然発見されたものです。
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波浮港
島の南部にある波浮港は島の中でもノスタルジックな風情ある漁港で、ゆっくり散策してみたくなるエリアです。また、波浮港には数々の文人や画家などの文化人も多く訪れ、様々な人々が行き交う活気溢れる場所となりました。そんな場所も時代の流れとともに静かな場所へと移り変わり、今では訪れた人々にどこか懐かしい印象を抱かせてくれる人気スポットとなっています。
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元町浜の湯
海の彼方に伊豆半島や富士山を望むことができる、眺望抜群の露店風呂です。ご家族で、またはダイビングの後に夕日を見ながらの入浴はいかがでしょう? 男女混浴(水着着用)の公共の温泉です。
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いかがでしたか?ぜひ、あなたの「ハマる大島」見つけてみてください。伊豆大島ナビでも引き続きさまざまな角度から「大島のハマるポイント」をご紹介していきたいと思っているので引き続きどうぞよろしくお願いします!!