Be Creative!第4回 人と自然との対比の中の美

Be Creative!は伊豆大島を題材にした作品やプロジェクトをご紹介していくコーナーです。

今回のBe Creative!は早稲田大学理工学部表現工学科に所属されている岡本香音さんの作品をご紹介します。

岡本さんは、映像やコンピュータグラフィックス、そしてプログラミングを得意とし、様々なメディアを駆使した作品づくりが得意なクリエイターで、大学に所属されながらもすでに第一線でのクリエイティブワークをこなす高い技術とセンスを持った学生さんです。

今回はそんな岡本さんが手がけた映像作品についてお話を伺います。

Haruki Shirouzu × Kanon Okamoto『DUNE』Diabolo Act

Oshima_Navi 編集部 岡本さん、こんにちは!まずは自己紹介をお願いします。

Andrew 岡本さん はい、岡本香音と申します。私は現在、早稲田大学理工学部表現工学科に所属している大学3年生です。
昔から映像を見たり作ったりするのが好きで、カメラも好きなので良く撮影をしてきました。
プログラミングやCGも好きなので、友人とコンピュータゲームを作ったりもします。様々なメディアを駆使して表現することに興味があります。
そんな趣味が高じて無観客コンサートのセット映像の制作や、商品プロモーションの映像制作などプロジェクトベースの制作なども行なっています。仕事においては撮影や装置の設計、友人との制作ではプロジェクト全体のディレクション等を担当することが多いです。

Oshima_Navi 編集部 何やら高度な技術が求められそうな活動をされていますね!
そんな岡本さんが今回手がけられた作品の制作までの経緯について教えてください。

Andrew 岡本さん ジャグリングをしている高校時代からの友人がいまして、以前から彼の中国ゴマ(ディアボロ)を操る姿が瞑想的でとても美しいと思っていたので、彼の姿を一度しっかり作品として残しておきたいなと思っていました
そこで、映像のイメージを膨らましていく中で、アイスランドのような広大で美しい場所が作品のロケ地としてしっくりきたので、アイスランドで撮影をしたいと考えていたのですが、新型コロナウィルスの影響により断念せざるを得ない状況になりまして、どうしようかと悩んでいたところ、友人のガラス作家であるイイノナホ(naho-glass.com)さんから伊豆大島の裏砂漠だったらアイスランドのイメージに近いのでは、と紹介してくれました。
調べてみると、東京都心から近い(そもそも東京都!)こともあり即決しました。

Oshima_Navi 編集部 様々な事情により裏砂漠を撮影場所に選んだとのことですが、裏砂漠のような場所を撮影場所に選んだ理由を教えてもらえますか?

Andrew 岡本さん 今回の作品では人間の力が到底及ばないような壮大な世界観の中、人間がポツンと独り佇んでいる様子を撮りたかったのと、ここにしかない唯一無二な場所を探していたので、裏砂漠はまさにピッタリな場所でした。

Oshima_Navi 編集部 確かに、裏砂漠は要件を十分に満たしていますね。ちなみに作品のテーマは設定されていましたか?

Andrew 岡本さん はい、先ほどもお話ししましたが、とてつもないスケールの中、独りポツンとジャグリングに打ち込む姿を撮りたいとずっと思っていました。人々の日々の営みや時間軸をまったく無視したかのような世界の中で、独自の時間が流れているかのような錯覚、そして、ジャグリングというもう一つの凝縮した世界との対比を表現したいと考えていました。

Oshima_Navi 編集部 圧倒的スケールの前では人間は無心になれるし、そこから美も感じられる。超感覚的世界に魅了されますよね。ちなみに伊豆大島への来島は初めてですか?

Andrew 岡本さん はい、今回の撮影ではじめて伊豆大島を訪れました。それまでは位置すら分からず、八丈島の近くにあると思っていました。笑
ところが、竹芝から高速船で二時間弱で行けることを知り、距離的にも近いので、天候の予想もしやすいのは撮影するのにも好都合だし、1泊で気軽に行けるのも魅力ですね。

Oshima_Navi 編集部 はじめて訪れた伊豆大島の印象を教えてください。

Andrew 岡本さん 島に近づく船内から断崖絶壁の地形が目に入った瞬間、撮影場所として伊豆大島を選んで正解だなと思いました。笑
剥き出しの自然がどこか日本ばなれしているし、遥々遠くまで来た気分でした。

出会った島の人もみなさんとても優しくて、島の魅力について色々と教えてくれました。
車をちょっと走らせれば、人工物のない自然剥き出しの景観が広がっている。裏砂漠までのアクセスも予想以上に良く、動きやすかったです。そこまで労力がかからないのに得られる画が素晴らしいのは嬉しい発見でした。
また、今回の映像は日の出の時間帯を狙いました。
裏砂漠の向こうの水平線から昇る太陽の光で浮かび上がる稜線と海をとらえたかったのです。

時間の経過とともに緑の色など表情が変わっていくのが面白かったです。風が弱かったのも幸いでした。

Oshima_Navi 編集部 映像クリエイターならではの視点ですね。次に伊豆大島の良いところを教えてもらえますか?

Andrew 岡本さん 車で数時間以内に行ける場所。スケール感がちょうど良いです。景勝地や観光スポットが程よい距離感で点在しているので、なんだかテーマパークを巡っているような気分になりました。そして、人が優しいのも魅力的でした。

Oshima_Navi 編集部 ありがとうございます。最後に今後の展望について教えてください。

Andrew 岡本さん 映像やロボット、ゲームなどいろいろなメディアで作品を作ってきたので、一度それらを見つめ直してメディア同士の境界線や繋がりについて考えたいと思っています。昔からの技術や価値観の中に未来へつながるような魅力が詰まっていると思うので、しっかり勉強しつつ、考えながら作品を作っていきたいと思っています。

プロフィール

岡本 香音

2000年生まれ 早稲田大学基幹理工学部所属
映像制作を主軸に、コンピューターゲームやロボット開発など様々なメディアを通して作品を作っています。
工学系の発想とアート的思考を交えながら方法に囚われない作品づくりを心がけています。

https://kanonokamoto.com/

\あわせてチェック!/

SAI PHOTOBOOKS 第5回「ツバキ」× イイノナホ

写真家saiと伊豆大島を歩いて、感じて、表現するマガジン

今回、岡本さんに作品の撮影地に裏砂漠を紹介したガラス作家のイイノナホさん。伊豆大島ナビのなかの連載「SAI PHOTOBOOKS」の第5回に登場しています。こちらも合わせてご覧ください。

詳しく見る