離島のあらゆる生活シーンを支える乗り物、離島への移動手段として、貨物等の輸送手段として「船」は様々な生活シーンに欠かせない乗り物です。
ここ伊豆大島にとっても船は私たちの生活に深く関わる乗り物です。そんな離島に暮らす私たちや観光客の皆さまにとって大切な東京諸島航路を運航する大型客船が2020年6月リニューアル!
今回は、そんな新造船のご紹介です。
東京〜東京諸島をつなぐ大型客船として約半世紀に渡って親しまれてきた「さるびあ丸」は1973年に初代、1992年に2代目が就航し、2代目は2020年6月25日をもって引退、新たに3代目「さるびあ丸」が同じく2020年6月25日に就航します。
上の写真は2代目「さるびあ丸」の伊豆大島最終出港日の様子。訓練航海中の3代目「さるびあ丸」の初着岸と重なり、桟橋左岸に3代目「さるびあ丸」、右岸に2代目「さるびあ丸」が2隻揃って停泊。たくさんの島の方がその姿をひと目見ようと訪れ、見送りました。
今回は2020年6月25日に初就航となる3代目「さるびあ丸」についてご紹介します。
3代目「さるびあ丸」の船内図等詳細情報については東海汽船公式サイト内のこちらのページをご覧ください。
さるびあ丸の主な航路は東京〜神津島航路
さるびあ丸の主な航路は東京ー大島ー利島ー新島ー式根島ー神津島航路。そして、夏季は東京湾納涼船として運航します。
つまり、伊豆大島へ向かう大型船は今回ご紹介する3代目「さるびあ丸」になります。新造船の快適な船旅をお楽しみください。
優しさを忘れないスーパーエコシップ
3代目となる「さるびあ丸」は最新の安全性能を誇る操船支援装置の導入や、電動で駆動するアジマス推進器(繭のようなかたちをした「ポッド」に大きなプロペラがついた、船を推進させるための装置)を採用することで、低燃費、低騒音、低振動を実現するとともに、島の離接岸をより容易なものとする等、進化を遂げています。
また、気象・海象情報を分析する最新の航海支援システムの搭載や「電子制御燃料噴射装置」搭載で排気ガス中の二酸化炭素や窒素酸化物を減少するなど、様々なエコロジー機能を搭載した環境に優しいスーパーエコシップなのです。
そんな環境に優しい3代目「さるびあ丸」はもちろん人にも優しいバリアフリー仕様となっており、船内エレベーター、多目的トイレ、2等優先席の設置や、車いすのお客様用に広い通路幅と車いす置き場スペースも確保しています。
カラーリング・デザインは「繋ぐ波紋様」
注目のカラーリング・デザインは美術家の野老朝雄氏が手がけられました。
「繋ぐ」をテーマに幾何学の原理を用いて「TOKYOアイランドブルー」と名付けられた藍色を使ってデザインされた船体は全体的に洗練された爽やかな印象です。
2020年6月18日に実施された3代目「さるびあ丸」内覧会の際に配布されていた資料に今回のさるびあ丸のデザインについて、野老氏のコメントが掲載されていましたので、ご紹介します。
- 当初から直感的に波紋様で船体を覆えたらと考えました。
さるびあ丸の船体を一周する紋様は200mを超えます。
この紋様の一つの特徴は、全て直線で構成されている事にあります。
紙やテープをピンと張る事で再現が可能です。
古来からの強い幾何学に基づき、港を繋ぐタイムレスな存在になってほしいと感じています。
日常のスケールから逸脱する大きな船は遠景や至近距離での存在の印象が異なります。そして接岸時や造船時の船体を見上げる体験は鳥肌を伴います。
また東京湾の入口、陸地が狭まってくる浦賀水道の通過時、様々な種類の船と併走したり、すれ違ったりしますが、その時々の緊張感、船の独自性や存在感を強く意識しながら描きました。
繋ぐという主題はまた、時間的な文脈を含みます。
三代目さるびあ丸は都市部と島々の文化や物語をつなぎ、また四代目五代目とバトンを繋いでいくのだと思います。
将来、現在の子供達がどのような船を作っていくかを考えるのもとても楽しみな事であります。-
それでは船内へご案内します
それでは、船内に入ってみましょう!
東海汽船創立130周年を記念して野老氏によってデザインされたロゴマークが印象的な入口から入ります。
2020年6月18日に行われた3代目「さるびあ丸」内覧会には小池都知事も視察に訪れるなど、大きな注目を集めていることが伺えました。こちらでは、気になる船内の主要なスポットをご紹介していきたいと思います。
操舵室
内覧会ということで、特別に操舵室も見学することができました。全体的にブルーの色で統一された室内は最新の機器が整然と並び、圧巻の一言。たくさんの技術を結集させることで、こんなにも大きな船が日々安全に運航できることをあらためて実感しました。クルーの皆さま、本当に日々の運航お疲れ様です!
7F展望デッキ
トップデッキの床は柔らかいゴムチップが敷かれているため、横になって星空を眺めるのに最適。粋な計らいですね!また、随所に旅の記念や思い出になりそうな撮影スポットも点在していて、島旅をより豊かにする工夫が随所に見られました。
6Fデッキ
広々としたデッキスペースは屋根もあり、潮風を感じながら航海を楽しむことができる開放的な空間。中央にはステージが設置されており、東京湾納涼船などのイベント時にさまざまな催し物が開催されます。
6Fレストラン「ミルキーウェイ」
船内レストランはなんと最上階に。眺めの良いスペースで思う存分お食事と航海を満喫できます。あまりの居心地の良さに飲みすぎないよう注意しましょう 笑。また、車いすのままご利用いただける優先席もご用意されています。
4F船内案内所
船内の総合インフォメーションセンターとして、案内所には公衆電話や両替機が設置されていたり、船旅でお困りの際のお問い合わせ窓口としてご利用いただけます。
3F授乳室・シャワールーム
3階には授乳やオムツ替えの際にご利用いただける授乳室やコイン式のシャワールームも設置されています。
あなたならどのタイプのお部屋で過ごす?客室のご案内
続いて、航海中ほとんどの時間を過ごすことになる客室についてご案内します。船体カラーリングに合わせて、青と白を基調としたデザインで統一された船内は上品で清潔感もあり、快適に過ごせる工夫が随所に施されていました。さて、あなたならどのタイプのお部屋で船旅に出かけますか?
特等室
まさに特等に相応しいプライベート感に満ちた特別室。青と白を基調としたシンプルなデザインは落ち着いた船旅が楽しめる極上空間。シャワー・ウォシュレットトイレ完備。
特1等室
定員4名の2段ベッドタイプのお部屋。ご家族やグループでのご利用に最適。シャワー・ウォシュレットトイレ完備、全席コンセント・鍵つきロッカー有り。
1等室
定員6名〜12名のお部屋。お顔にあたる部分がちょうどパーティションで区切られる、プレイベートに配慮された設計に。全席マットレス・コンセント・鍵つきロッカー有り。
特2等室
2段ベッドタイプで、安全性を考慮し、ハシゴではなく、上りやすい階段を設置しているから高齢者の方も安心です。カーテンを閉めることで、プライベート空間を確保できます。全席コンセント・鍵つきロッカー有り。
2等和室
定員4〜18名のお部屋。こちらもお顔にあたる部分がちょうどパーティションで区切られ、プライベートに配慮した設計に。全席コンセント・鍵つきロッカー有り。
2等椅子席
リクライニングシートタイプのお席。ゆったりくつろげる2人掛けで、ロールカーテンを下ろすと、隣席との仕切りができるつくりに。全席USBポート付属、鍵つきロッカー有り。
主要目について
総トン数 | 6,099t |
全長 | 118m |
全幅 | 17m |
満載喫水 | 5.4m |
航海速力 | 約20ノット(約38km/h) |
主機関 | 2サイクル ディーゼル |
推進加勢 | アジマス推進器 |
旅客定員 | 1,343人(指定席733席) |
※2020年6月25日現在
さっそく3代目「さるびあ丸」に乗って島旅に出かけよう!
早速、3代目「さるびあ丸」に乗って船旅に出かけたいと思った方は、下記それぞれのバナーより各ページの掲載情報を参考に旅の計画を立ててみてはいかがでしょうか?
ちなみに、「時刻表」ページ内、<東京~大島・利島・新島・式根島・神津島航路>の「大型客船」が3代目「さるびあ丸」になります。
続いて、「運賃表」ページ内、大島航路(大型客船・ジェット船)の「大型船」、東京・横浜~利島・新島・式根島・神津島航路(大型客船)の「大型船」が3代目「さるびあ丸」になります。
最後に「予約から乗船まで」の情報をチェックすれば準備完了です!
大型客船で行く船旅の魅力
大型客船3代目「さるびあ丸」は東京竹芝を夜に出航します。
東京湾の夜景や東京タワーを眺めながらの出発、ライトアップされたレインボーブリッジをくぐるときのワクワク感、お台場の華やかな夜景や、羽田沖から見る飛行機の離発着の素晴らしさ等々、出航した瞬間から普段の生活では味わえない贅沢なひと時が続きます。
そして、翌日の明け方には島に到着です。都心にはない空気感に一気にテンションあがる瞬間。例えば、日の出とともに鮮やかに彩られる空の色や潮風や波の音、植物の香りなど、自然からのさまざまなサインを五感で受けることでこれから始まる島旅へのワクワク感が一気に高まるのです。この体験はきっと大型船でしか味わえないものだと思います。
船旅の魅力を再認識!今年は大型客船で東京の島々へ!!
3代目「さるびあ丸」いかがでしたか?
船旅の新たなスタイルがここから生まれる。
移動手段としての船が非日常を体験する旅の主要な時間の一部なんだ、ということを再確認させてくれる今回の新造船。
この船で島に行きたい!
そして、東京竹芝エリアも大きく変わりつつある中、東京の島々を結ぶ新たな「さるびあ丸」のポテンシャルに大きな可能性を感じています。今年はぜひ大型客船で東京の島々へ!!