“消費”から“生産”へ。それが島の暮らしのいいところ。
伊豆大島に暮らす人にお会いし、お話をお伺いする企画、その名も「島人Focus」。 今回は伊豆大島の定時制高校の教員に赴任したのがきっかけで島に移住、現在は地域の介護施設のお手伝いをしながら伊豆大島・灯原舎を経営、自然豊かな大島で活動的に生活を楽しんでいる岩瀬政夫氏にお話を伺いました。
-伊豆大島に引っ越されたきっかけを教えてください
伊豆大島に来たのは1972年。島の高校の定時制課程が英語の教員を探していたことと、田舎の暮らしを求めていたこともあり引っ越すことにしました。
畑で野菜を育てたり、海で海草を採ったり、自然との関わりの多い島での生活は消費的なスタイルから生産的なスタイルへと変わります。そして、自然との関わり抜きには人間は生きていけないということを強く感じさせてくれます。
-そんなお話の最中、岩瀬さんは私たちに手作りの天然酵母パンをごちそうしてくれました。
-天然酵母パンを手作りされているんですか?
はい。天然酵母パンは4年ぐらい前からつくるようになりました。有機レーズンやブラックベリー、アケビなどを使って酵母からつくりますよ。
天然酵母パンって硬そうなイメージがあるかと思いますが、発酵の方法を研究しているうちに最近柔らかくふんわり仕上げる方法を見つけたんです。より美味しくなりましたよ(笑)。
酵母は生きているので、無理をさせずに気持ちよく発酵させてあげることがポイントです。
-岩瀬さんは有機レーズンの酵母のつくり方を実演して見せてくれました。岩瀬さんの手作りの天然酵母パン、本当に柔らかくて香り豊かで絶品でした♪
-部屋に飾られている写真がとても素敵ですね
これらの写真は息子が撮ったものなんです。
息子が大島の風景を中心に写真に収めるようになりまして、その写真を入れるフォトフレームを僕が大島に流れ着く流木を使ってつくっています。
材料に使う流木は自然に育っていた木ではなく、一度人の手で加工され、人に利用されていた木材を集めています。なぜなら、綺麗に成型・加工された木材が海上を長い間漂うことで自然に洗われてまた自然の形になっていく、そんなところが興味深いからです。そして、ひとつとして同じ形のものは出来ない、味わい深い風合いや独特の存在感も気に入っています。
-ちなみに、この息子さんとのコラボ作品は、大島温泉ホテルや藤井工房さんでもご覧になれるそうですよ。
-毎日の日課は走ること!?
僕はつくることが好きで、木工細工や天然酵母パン、そして畑で野菜を作ったりしているのですが、もうひとつ日課として続けていることが、走ることなんです。
60歳の誕生日を過ぎてから今まで2,000日以上、毎日休まず走っているのがちょっとした自慢です。距離も大体6、7キロは走っていますよ。
島はどこを走っても気持ちよく走れますから。
日差しが暑い夏も木陰が多いから、直射日光を浴びずに走れるんです。
伊豆大島は起伏に富んだ地形のせいか、マラソンイベントが多く、積極的に参加しています。
今でもフルマラソンは4時間台で走っています。
そう、60歳の誕生日を記念してボストンマラソンに出場したこともありますよ。
-次々に話題が出てきてお話が尽きない。岩瀬さんはとってもバイタリティー溢れる方なんです。
-最後に畑を見せてもらえますか?
スイカやそら豆、ネギや人参、バジルなど色々育てています。大島の土壌は何でも育ちますよ。台風には気をつけなければなりませんが。
ただ、最近手広くやりすぎてちょっと大変になってきました。。(笑)
自分で作る手間隙を習慣的にしてしまえば、苦にならないんです。伊豆大島での生活はいろんなことを始めるきっかけをいっぱい与えてくれます。
“Do
It Yourself”ですよ(笑)
岩瀬さんの大島オススメ情報
三原山を中心とした山の景観や砂の浜から見る海の眺めは何千年も何万年も変わらない景色に思えてくる。伊豆大島には人の手が加えられていない、人工物が視界に入ってこない風景が今も多く残っている。
そんな風景が多く残る場所が東京から120kmのところに存在するのは、貴重ではないかと思う。
岩瀬 政夫
1944年生まれ。茨城県出身。
高校卒業後二年間、味の素中央研究所に勤務。
立教大学院英米文学専攻修士課程修了。
1972年都立定時制高校教員として伊豆大島に移住。
現在は伊豆大島・灯原舎経営。